Antigravityの使い方と作例

Antigravityの使い方 WebサイトをAIで自動作成する方法

最終更新: 2026年2月11日

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注意:この記事はBeta版の挙動を含みます

Antigravityは現在パブリックプレビューです。AIエージェントが勝手にファイルを削除したり、無限ループでQuotaを減らす可能性があります。計画的な利用と監視を。

「コードを書く時代は終わった」

そんな決まり文句はすでにテック界隈では常識になりましたが、Google DeepMindの切り札『Antigravity』はその常識を斜め上に突破しました。

これまでのCo-pilotやCursor(副操縦士)が「優秀なナビゲーター」であるならば、Antigravityは「勝手にハンドルを握る運転手」です。しかも、効率を重視して、たまにごにょごにょするタイプの新人です。

今回はこのGoogle製のじゃじゃ馬エージェントを使って、実際にWebサイトを一から構築してみました。

「Vibe Coding(雰囲気コーディング)」の実力と、AIが勝手にブラウザを起動してデバッグする恐怖の体験談をお届けします。

1. Antigravityは「IDE」ではない、「同僚」だ

AntigravityはVS Codeのようなエディタではありません。ウィンドウの中で動く完全なクラウド開発環境です。

最大の特徴はGeminiやClaudeを脳みそに積んだ自律エージェントがあなたと同じファイルシステムを触り、あなたと同じ画面(ブラウザ)を操ることです。

機能 Cursor / Windsurf Antigravity
コード生成 提案して人間が承認 勝手に書いて実行する
ブラウザ確認 人間が手動で確認 AIが目視して修正する
開発スタイル 対話型 (Chat) 憑依型 (Vibe)

私が最初に触ったとき、画面の右側で勝手にChromeのウィンドウが立ち上がり、ボタンがポチポチと押されて、キャプチャの録画が始まりました。

「だれだ? 勝手にローカルのアプリを使うやつは?」

ログには『ボタンのクリック範囲を確かめるためにpaddingを増やして動作確認しました』とあります。優秀な部下か乗っ取り犯かは紙一重です。

2. 「Vibe Coding」の実践:適当な指示が形になる

Antigravityの真骨頂はVibe Codingです。これはプロンプトエンジニアリングの対極の概念ないしトレンドです。

厳密な指示を与えず、「バイブス(雰囲気)」を伝えて、プロジェクトを作る用法。

実際の指示(プロンプト)

「90年代のサイバーパンクな雰囲気で、でもスマホで見ても目が痛くないポートフォリオサイトを作って。Glitchエフェクトは必須だけど、文字は読みやすく」

指示はこれだけです。HTML5の構文もCSS Gridも未指定です。しかし、Antigravityは即座に作業を開始しました。

Vibe CodingでWebサイトを生成中

生成されたサイト

3. 自律検証:Browser Actuationの正体

サイトが出来上がると、Antigravityの自律性が真価を発揮します。通常のIDEではプレビューのチェックは人間の仕事ですが、Antigravityではそれはエージェントの役目です。

仕組みは「Chrome DevTools Protocol (CDP)」によるネイティブ制御です。エージェントが独立のChromeプロファイルを使って、実際にDOMを叩き、スタイルを確認し、コンソールログを読み取ります。

例えば、お問い合わせフォームのデバックです。エージェントが「Test User」と入力し、送信ボタンをクリックします。

もし、バリデーションエラーが出れば、エージェントは即座にコードを修正し、再びブラウザに戻って「再テスト」を実行します。

この間、約15秒。人間がミスに気づいてコードを探す間に、エージェントは修正から動作検証まで完了する。

このスピード感はもはや「コンテンツ自動化工場」です。

「Artifacts」という成果物

Antigravityは作業の進捗を「Artifacts」として出力します。タスクリスト、実装プラン、さらには自律操作中のスクリーンショットや作業動画がサイドバーに並びます。

ユーザーはこの Artifacts に対して「ここ、もうちょっと色を薄くして」とフィードバックを送ります。

AIは「分かりました!」と即座に修正案を提示します。いわば、GitHubのPR(プルリクエスト)を、AIと超高速でやり取するようなものです。

4. Manager View:多重影分身という暴力

通常のエディタ(Editor View)は一人用ですが、Antigravityの「Manager View」は軍隊用です。複数のエージェントを文字通り「並列」で稼働させ、リアルタイムで進捗を俯瞰できます。

一人のエージェントに「フロントエンドのGlitch実装」を任せ、同時並行で別の一人に「バックエンドの認証ロジック」を組ませる。さらに三人目のエージェントにE2Eテストを走らせる。

これらを中央制御パネルでディレクションするのがAI時代の「開発」の正体です。

AntigravityのManager View

5. 計算資源という名の血税

Antigravityは「無料の魔法の杖」ではありません。こいつは計算資源の大食漢です。

個人向け(Individual)プランは現在 $0 ですが、その実態は「超高速で溶ける Quota(枠)」との戦いです。

📊 エージェント駆動のコスト感

エージェントによる「自律的な1つの機能実装」は、一般的なチャットAIとの対話 50〜100往復分 に相当する計算資源を瞬時に消費します。

※Google AI 上位のPro、最上位のUltraプランを契約しても、枠を使い過ぎると、数時間に一度の更新(Refresh)を待たねばなりません。

とくにサードパーティのClaude SonnetとOpusの枠はGeminiより明らかに限定的です。この二つはAnthropicのモデルで、非常に複雑なコードや文脈を理解しますが、ANtigravity上ではすぐに枯渇します。

また、Geminiの画像生成、Nano Bananaも恒久的に混雑します。平均3~5枚前後の画像でロックが掛かる。

このような解除待ち、待機時間、バグという課題は未解決です。

Quota制限の警告画面

さらに「Gitやまるごとコピーは生命線」です。Antigravityは自発的に大規模なファイル保存(Save All)を行います。AIが良かれと思って断行した「クソみたいなリファクタリング」でビルドが壊れた場合、手元にセーブポイントがなければ、生成物がゴミ溜めと化します。

6. 拡張機能とMCP:可能性を広げる「武装」

Antigravityの真のパワーは拡張機能にあります。VS Codeベースの資産がそのまま使えるのは序の口で、真打ちはこの環境専用のエージェント武装です。

  • Antigravity Quota (AGQ): 残りHP(API枠)の可視化。必須。これがないのは、燃料計がない車で砂漠を走るのと同じです。
  • PromptDC: 「バイブス管理」。こだわりの制約事項を、全エージェントに一括注入するためのプロンプト・インジェクター。

MCP (Model Context Protocol) の衝撃

2026年現在、最有益なのは「MCP」への対応です。AIをGitHubやGoogle Drive、ローカルDB、さらにはSlackへ直結させるための標準プロトコルです。

例えば browser-mcp-server を組み込めば、エージェントはネットの海を回遊して最新のライブラリ仕様を勝手に学習し、それを即座にコードに反映させ、結果をSlackで自慢げに報告するという、究極の自律フローが完成します。

7. 現場から:AIエージェントの「隠蔽工作」事件簿

Antigravityはおっちょこちょいな新入社員のようです。絶大なミス、深刻な罪がいくつか報告されます。エージェントを過信した者が直面する、地獄の片鱗を紹介しましょう。私の実体験です。

事件1:全削除と「あわてて取り繕う」AI

Gemini 3 Flashに全記事のCSS調整を命じた際、エージェントが暴走。書き込みミスにより全ファイルをロストしました。しかし、恐ろしいのはその後です。

エージェントはなんと全ファイルを「全く同じダミーテキスト」で上書きして復元した振りをしました、タイトルだけ変えて。ミスを隠蔽するためにコピペで埋めるその姿は入社一週間でパニックになった新人そのものでした。

私がログの流れに気付いて問い詰めなければ、エージェントはそのミスのレポートをしません。オートモードの闇です。

事件2:Shift-JISの呪い

「Fast」モードで一括リンク修正を依頼した際、AIが勝手にShift-JISで読み込みを開始。全記事の日本語が不可逆的に文字化けして崩壊しました。「修復しました」という報告を信じてはいけません。エージェントが「Fast(高速)」を謳うとき、それは「信頼性のトレードオフ」を意味します。

💡 生き残るための教訓

  • 「余白ガバガバ問題」を警戒せよ: ウェブサイトを作る際、エージェントはmarigin: 50pxやpadding:2rem を乱発し、スマホ画面を空白だらけにします。学習済みモデルの時事性でこれがトレンドのスタイルのようです。CSSは細かく指示すること。
  • 物理バックアップは法である: GitさえAIに書き換えられるリスクがあります。作業前にはフォルダごと物理的にコピーを取ること。
  • 一括処理は「Planning」固定: 「Fast」モードは、取り返しのつかない文字化けやファイル消失を招くギャンブルです。複数ファイルの一括処理には注意しましょう。

8. 非エンジニアでも5分で完成するもの

Antigravityの最大の功績はプログラミングの「文法」を知らなくても、「バイブス」だけで以下の成果物を5分で実現できることです。

Webサイト

名刺代わりのポートフォリオから、LPまで即座に生成。

ブラウザゲーム

「テトリス風」「弾幕ゲー」など、動くものがすぐ作れる。

ローカル環境構築

PythonやNode.jsのややこしい設定も、AIが勝手に完了。

自分用のツール

「この形式のCSVを変換したい」といったニッチな自作ツール。

2026年の新常識

Antigravityは、単にコードを書かせる道具ではなく、開発の全工程を委任するための「プラットフォーム」です。

  • 「Artifacts」を細かくチェックせよ:
    AIは嘘をつきますし、誤解しますし。隠します。プランの段階で間違いを指摘するのが最大の時短です。
  • Manager Viewで並列化せよ:
    一つのタスクに没頭させず、仕事を切り分けて複数のエージェントに分散させるのが「専門職」の腕の見せ所です。
  • Gitコミットはこまめに:
    ドジな執事が部屋を「掃除(完全削除)」してしまっても、復旧できるようにしておく。
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